言葉の奥にあるもの

利用者さんが「おしっこしたい」という

言葉の奥にあるものって、実はいろいろ

あるのです。

以前いた特養で10分おきに「トイレ」を

連発していた方は、実はこの場所に

いたくないというSOSでした。

 

この特養では3ユニットにわけて

ケアしており、その利用者さんは比較的

しっかりした方たちを中心にしたBユニットに

おられました。

そのためタオル畳み等の軽作業をして

いただくのですが

その方は畳み方が雑でいつも周りの利用者

から畳み方が悪いと叱られていたそうで

ずいぶん形見の狭い思いをして

いたようです。

最初はトイレの近くに座って貰う等の

対応をしていたのですが

トイレの訴えは収まらず、Bユニットから

重度の方の多いÇユニットに移ってもらった

ところトイレの訴えが減ったとのことでした。

なので、「トイレに行きたい」と

いう利用者に対して

「さっき行ったでしょ!」

「そこに座ってて!」

の言葉は利用者さんの

「本当はここに居たくない」の

訴えを無視しているだけで

ここに居たくない気持ちを

増幅させているだけ

かもしれません。

この間も、寒がりの利用者さんが何枚も

上着を着て赤い顔をしているので

「着すぎだから脱がないと

体温が逆に上がってしまうよ」

と言いながら体温計を渡したところ

「女のくせに!」と体温計を

スタッフに突き刺そうとして

一瞬、場が凍りつきました。

後でスタッフ同士で話し合った時に

「そういえば、今朝お迎えの際、

いつも出てきて挨拶をしてくれる奥さんが

出てこなかった。

夫婦喧嘩でもしてたのかな?」

「あーっ、朝から夫婦喧嘩で

イライラしてたのか?」

「そうかもね。奥さんと喧嘩したときは

いつもと様子が違うもんね。」…

 

夫婦喧嘩の件はお家の中の

ことなので原因はやぶの中ですが、

男女同権の現代と

男尊女卑の時代の

利用者さんとでは

考え方はまったく違うし

お家での家族関係が微妙に絡み合って

くるので、その場だけで

物を考えると問題老人と言うレッテル

を貼られてしまうけど

こちらが今の考え方で

当たり前と思って話しかけた

ことが、相手にすればとても

失礼な言葉に聞こえてしまう

のかもしれません。

いつもしていることが

行われていない時は

必ず何かあると思って

気を付けていなければ…

言葉の奥にあるものを

掘り下げて傾聴し、

気付きに繋げなければ

いけないと思う

エピソードでした。