奇跡の毎日

 宅老所昭ちゃん家をやりたいと思ったきっかけになった本があります。

それは福岡県の宅老所よりあい代表下村恵美子さんが書いた

『98歳の妊娠』という本です。

2年ほど前、この中で下村さんが書いた一文に惹かれ蛍光インクで線をひきました。

その一文を紹介します。

「特別に何かしたというわけではなく、ゆっくり一緒にいるだけで、こんなに

人は変わる。『痴呆』のお年寄りを病院に入れたり、薬で行動を抑制する

のではなく、安心できる場所と、安心できる関係があれば、こんな風に過ごせるんですね。

(中略)そして他施設で受け入れできなかった人たちが、よりあいでの生活を始めると、家で

食べられなかった人が食べ始めたり、オムツだった人がトイレに行けるようになったりという

小さな奇跡が連日のように起こっていました。」

 開設して2か月が過ぎ、宅老所昭ちゃん家で、この『奇跡』を毎日、実感しています。

全介助でパンしか食べられなかった方が、スプーンを使ってスウィーツを食べたり、ソーメンやうどん、

スパゲティーを箸で上手に食べ始めたり、暴言暴力でしかコミュニケーションがとれなかった方が

帽子を取って挨拶をし始めたり、職員と一緒に笑顔でギャグをかましたり…。

昨年9月によりあいを見学して宅老所の開設を決意しました。

 よりあいの皆さん、ありがとうございます。

 そして、同じくらいの衝撃を受けた神奈川県藤沢市のあおいけあの皆さん、ありがとうございます。