三味線ものがたり

私は、三味線とギターをたしなみます。

ギターは高校のころから楽しんでいましたが、三味線は特養に勤めているときに

施設の夜警さんに声をかけられて始めました。誕生会で演奏するためにギターをもってきたの

ですが、夜警さんがギターを見て、「俺の三味線ど、コラボすべ!」と津軽弁で声をかけられました。

施設のじーさん、ばーさんは民謡が好きなので快諾しました。

しかし、ギターのチューニングと三味線のそれとは、若干、音の高さが違うので、練習をしても合ってるのかどうか

わからず、夜警さんは「オッケー、オッケー、大丈夫!」と太鼓判を押してくれるので、

性格がいいかげんな私は「まっ、いいか」と納得して誕生会の本番で、三味線とギターの演奏を始めると

突然、目の前に人が出てきて、ギターの音を止まりました。

何があったのかと思ったら「三味線の音だけ聞きたいから、演奏するな!」と音を止めた介護主任からどなられ

ました。

会場全員がそう思ったらしく、皆、大笑いでした。

確かに夜警さんの津軽じょんがら節の演奏は素晴らしく、私は渋々、ギターも弾けず横に突っ立って演奏を

聴いていました。

その時以来、夜警さんと仲良くなり常連で行っていた音楽パブ・キャラバンのマスター・カルロス(日本人)に

「すごい三味線弾きの人がいるんだ」と演奏してもらったところ、カルロス(純粋の日本人)も感動して

夜警さんに細川たかしの『望郷じょんがら』の三味線部分だけ弾いてもらうためカルロス(レットイットビーを

青森なまりで歌うファンキーな日本人)は夜警さんと施設回りを始めました。

(つづく)