視点を変えると関わり方が変わる。

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写真と文章の内容は全く関係ありません。

 

先日、2年以上お風呂に入っていない

高齢者を昭ちゃん家で1日体験させて

くれないかと知り合いのケアマネに

頼まれまして。

興味本位半分(ごめんなさい。)

で本人にお会いしてきました。

 

ゴミ屋敷みたいなところに猫と一緒に暮らして

いるのかな~と想像していたら、

最近できたばかりの立派なマンションで

家族と一緒に暮らしていました。

 

話をしてみると

「私はもう90過ぎて、ここで

テレビを見て家の中で歩いているだけで

いいんだ。

デイサービスになんか行きたくない。

構わないでくれ。」

と眉間に皺をよせ

すべての事に拒否している様子でした。

少し前まで自宅で一人暮らしをし

2本の杖をついて移動していたそうですが

ストーブが壊れたのを機に

マンションに移り

娘さんと

一緒に住み始めた

ばかりでした。

 

2年以上お風呂に入っていないのは

さすがになんとかしてあげたいな~

と思い、悪者になってもいいから

入浴させてあげたいと思いました。

風呂場に連れていって、

「あらら、間違えちゃった」

とお湯をかければ

さすがの歴戦のつわものも

服を脱がざるを得ないと思いますと

言うと、

娘さん「そんなことできるんですか?」

と眼をキラキラ輝かせます。

 

ケアマネも「病院に行く」と言えば

出てきてくれるんじゃないかと

言ってくれたので、

私たちは娘さんを巻き込んで

Kさんの『ニューヨーク(入浴)大脱出作戦』

を開始しました。

ケアマネの予想通り、Kさんは

病院と聞いてしっかり着替えて

出てきてくれました。

娘さんは、「服をびしょぬれにしても

構わないから風呂へ入れてくれ」と

ノリノリです。

「ラジャー(‘◇’)ゞ。了解しました。」と

娘さんとアイコンタクトを取りつつ

「さあKさん、病院へいきますよ

うちの病院はちょっと変わった病院で

家庭的な雰囲気で、医者も看護師も普段着で

診察しているんですよ。」

「へぇ、そうなの。」とKさん

疑っている様子は見られません。

昭ちゃん家に着いても

「ほーら、見てごらん。

ふつうのお家みたいでしょ!」

と車から降りてもらうと

本人は疑うそぶりもみられません。

あれ、ぜんぜん拒否が無い。

「ここはなんなの?」

「病院です。」(ちょっと無理があるかな?)

「ふ~ん」

リビングに入っても

何の抵抗もありません。

バイタルを測って

少しおしゃべりをしてから

おもむろに介護スタッフが

「じゃあ、こっちに行きますか?」

とトイレへ行ったついでを装って

浴室へ案内しました。

うわ~、修羅場になるのか?

と思いましたが、

怒鳴り声が聞こえません。

 

普通に入って普通に浴槽にも入って

くれたそうです。

自分で身体も洗ったそうです。

 

拍子抜けしてしまいました。

普通にご飯も美味しそうに

食べてくれました。

 

頼んだ件のケアマネは

「今まで、何度もデイにお誘い

したけれど駄目だったんです。

こんなことなら早くデイに

連れて行けば良かった…。」

とうなだれていました。

 

もう次の週から週2回

宅老所昭ちゃん家ご利用が決まり

ましたが今のところ

拒否されることはありません。

娘さんもKさんに

「どこに行ってきたかわかる?」と

聴いても

Kさんは「どこにも行ってないよ。」

とデイサービスに

行ったことすら憶えていない様子

です。

 

良い介護職は良い役者でもある

と言った人がいました。

 

正攻法で取り組んでも

上手くいかない場合は

視点を変えてみて

関わってみると

うまくいくこともあるんだ

という事例でした。