宅老所よりあい

最近、管理者・宮下は

悩んでいます。

2年前から利用してくれて

いるトーサンが

他利用者を叩いたり、

杖で突く等するように

なってきました。

 

力はもう無いので叩かれて

怪我することは無いのですが

五感にアプローチする

昭ちゃん家のケアで

興奮したり、暴れたりは

無くなると思って

いたので、ショックでした。

前からスタッフへの攻撃は

あったのですが、

バーチャンたちに

危害を加えることは

無かったので

頭を抱えました。

 

それで原点に戻ろうと思い

福岡で宅老所よりあいを

運営している村瀬孝生さんの

本をもう一度読み返して

みました。

『認知症をつくっているのは

誰なのか』と言う本の一文を

紹介します。

「お年寄りは何に

対しても怒りますよ。

老いた自分すら怒って

いる人もいます。

それが暴力になる人と

内面が崩れて

自己崩壊へ向かう人がいます。

それがぼけや認知症に

見えると思います。」

「安定させとかなきゃ

いけないっていう

介護職の病気みたいな

ものですね。

いつも

落ち着いている、

落ち着いていない

落ち着いている」

っていう申し送りですから。

何か、「落ち着いてもらう

症候群」になっているような

気がします。

お年寄りを見る度に

「落ち着いている

だろうか」みたいな。

でも落ち着きようもない

時期ってある訳ですよ。

悲しくてしょうがない時期

もある。

悲しくてしょうがない時は

泣くだろうし、

落ち着かない時は

落ち着かないだけです。

その時期を、

周囲が許さないから

こじれてきます。」

また、宅老所よりあいの

暴力のある方への

取り組みが同じ本の中に

ありましたのでこれも

長いですが紹介します。

「一人いましたが、

その人は今はすごく

穏やかです。

でも一時期、

1~2年間は、

職員が辞めたくなるくらい

暴力がひどかったです。

向精神薬を使わないと

在宅すら成り立たないからと、

家族と先生の話し合いで

処方されたときに、

僕らもそれを受け入れた

ことがあります。

ただいつまでも継続される

ことは望まないので、

やめる機会を探します。

結局、その人は1年で、

スッと収まりました。

その間僕らは、

そういう問題が出ないように

関わりを見つけます。

その人の場合は

お風呂でした。

それまでは本当にお風呂に

対する抵抗感が

強くて、全然

入らなかったんです。

強引にすると

また荒れるから、

結局体を拭くのが

精一杯でした。

 

体格がすごくいい方で、

暴力が男性なみの

パワーなんです。

骨が折れるぐらいですね。

指1本ぐらい、簡単に。

強引にお風呂に入れるのは

よくないというので、

押したり引いたりしながら

すすめてみたんです。

あるとき、職員が

決断しました。

「よりあい」ではなく、

家で家族と一緒に

羽交い絞めにして入れようと。

不潔だからというよりも、

本人もつらい訳ですよ。

不快だからその不快感を

取るために、

イヤがってもいいから

家族と一緒に強引にお風呂に

入れたんです。

その人は、強引にお風呂に

入ることを続けていくうちに

穏やかになってきました。

だんだん、主体的に

自分でも入るように

なっていきました。」

「2年目に入りましたけど、

今は嘘みたいに穏やかに

なりました。」

「1年間は、強引なことは

しなかったし。

お風呂に入るという

単発の行為自体は

強引でしたけど。

それも月を増すごとに、

強引にしなくても

入れるようになりました。

僕らはデイサービスですが、

自宅で入浴ケアを

することによって、

家族と職員の絆が

すごく深まったんです。

娘さんが非常に

孤立していたのも、

そこで解かれていきましたし。

ご本人は、70代後半かな。

それまでは他の

デイサービスに行っていて、

他の専門職が全員

精神科病院をすすめて

いた人です。

それで、「よりあいだったら

対応できるんじゃないか」って

ケアマネが紹介してきました。

それで対応した訳です。

結果として、その人は

精神科病院に入らずに

すみました。

「ただ1年間、職員は

泣いてましたね。

暴力がひどかったですから。

みんな青あざがあったし。

僕も手の指が二本、

折れたかと思いました。」

 

管理者・宮下が福岡の

宅老所よりあいに

見学に行ったのは5年前くらいに

なると思います。

(リビングに畳の間を

作るというのも

よりあいさんから

頂いたものです。)

 

スタッフと一緒に

三味線を担いで

宅老所よりあい、

第2よりあい、そして

日本で初めての

木造建築の

特養・よりあいの森

の3か所を見てきましたが、

皆さんそれぞれとっても

良い笑顔で民謡を

聴いていただきました。

しかし、この笑顔を

保つための努力を常に

していたんだなーと

改めて感心しました。

よりあいの皆さん、

ありがとうございました。

宮下はまた一から

出直すつもりで

利用者さんたちに寄り添って

行きたいと思います。